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【写真集】 Wooden Clogs on Elétricos を上梓しました

2020.5.29

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17年ぶりに僕の2冊目の写真集を出しました。僕の専門はアニメーションの研究なので、鉃道の写真集とはまったくおこがましい所行といわざるを得ません。しかしこの撮影のきっかけもアニメーションから始まったのです。1998年に、制作したアニメーション短編「この星の上に」という作品が、ポルトガル北部のエスピーニョという街で開かれた「シナニマ」という映画祭に入選し、上映されることになり、勇んでリスボンへ乗り込みました。そこで予期せず、遭遇した路面電車(エレクトリコ)にたちまち夢中になったのです。七つの丘を登るこのチンチン電車は、「路面」では正しくなく、登山電車ならぬ「登丘電車」と呼ぶべきでしょう。裏町で驚くような急坂を一気に登ったり、これはないよねという狭い町並みを抜けて行ったり、遊園地のアトラクションとしか思えない運転を繰り広げて行きます。ギシギシと全体を左右に揺らしながら、リズムをとるように進んで行く姿は、初期のアメリカの漫画アニメーションとそっくりです。50年も見続けてアニメ馬鹿になっている僕の目には、なにかしらの生命が宿っているとしか思えませんでした。そして、電車を利用している人々の生き生きとした姿がありました。足腰に不安を抱える高齢の人が多いように感じられる街ですが、この電車の助けを借りて丘を上り下りし、元気に暮らしている様子です。不躾にカメラを向ける異邦人にも、暖かい笑顔で応えてくれるように思えました。

それから、アニメーション映画祭のついでに寄った街、ブダペストやポルト、プラハなどで撮影を続けてきました。傑作とは言えませんが、まあ、ましなものを集めたのがこの本です。刊行後、僕のイメージに合わない(どうやら褒め言葉のよう)という感想をもらって少し安心した次第です。

売れ行きはパッとしませんが、それでも先日、神保町書泉グランデの鉄道コーナーに置いてもらったところ7冊も売れたというので、舞い上がって喜んでいる現在です。

 

『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』

2015.11.12

マイヤー

 

2015年11月8日、渋谷のイメージフォーラムで第87回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞 ノミネートの作品Finding Vivian Maierを見る。

2007年、シカゴで暮らす青年ジョン・マルーフが、オークションで大量の古い写真のネガを380ドルで落札しその一部をブログで紹介すると世界中から賞賛の声が寄せられ、欧米各地で開かれた展覧会も好評を呼んだ。この映画は発見者であるマルーフ本人が監督を務め、関係者へのインタビューなどを通してヴィヴィアンの人物像を明らかにしていくというもの。
製作年2013年/上映時間 83分

まずこの写真の出来映え、そして街の人々を被写体を見つめる姿勢が共感できる。もちろん僕はこんなにうまくはないけれど。思わずローライを買いに行きたくなる。
写真のそのものの魅力が一番だが、見方を発見者の方に変えても、僕には興味深い。
僕もコレクターであって、一見薄汚い箱やフィルムを手に入れることは度々だからだ。
収集して、価値を見いだして、それを世間一般に広報、普及させるという一環してアグレッシブな活動に強く魅かれるのは、今僕がコレクションしているものを持て余して充分世の中に広めていけないジレンマを抱えているからに他ならない。
その意味でコレクションのカタログ化、展覧会を実現しようと大いに刺激を受けた。

この小さなWEBで写真撮影者としてもうちょっと真剣に自分の表現したいものと向き合う姿勢を形にして行こうと思った。
まず写真をちょっとじつ増やしていくことにしよう。後はそれからだ。

写真家なのか僕は?

2012.1.27

好きで写真を小さい頃から撮っています。たぶん50年以上。でも、これは!という自信作は少ない。お金をもらったことはないので、やはりプロではな いのでしょう。100%の自信作はアニメーション界の巨人、アレクサンドル・アレクセイエフをフランスで1975年に撮影したもの。たった1枚だけれど、 これは僕自身も感心するほど良く撮れています。そして30年くらい経ってからこの監督についての立派な評伝がヨーロッパで出版された際、裏表紙を飾るポー トレートとして採用されました。お金はもらっていないけれど、なんだか世界でも良い方の肖像と認知された気がします。だから、完全なアマチュアでもない、 という気持ちにもなりました。

そんな中途半端なぼくの写真のサイトです。これからはもっとちゃんと撮るように気合いを込める意味で作りました。みなさんに感想と叱咤頂ければ幸いです。

2012.1.27

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